幸せホルモンか

旅先で読んだ新聞に「幸せホルモンの効用」という記事があった。欧米の調査によると犬や猫を飼う人が病院に通う回数は、飼って無い人に比べて約二割少ないという。ペットと触れ合うと、脳から「オキシトシン」の分泌が増えて心を落ち着かせるそうだ。俗にいう「幸せホルモン」である。この幸せホルモンの分泌は、親子や恋人が手をつないでも増えるという。

有田秀穂氏(東邦大学医学部教授)《PHP文庫『「脳の疲れ」がとれる生活術』は、「脳の疲れ」がスーッととれる!“癒しホルモン”オキシトシンの増やし方を述べる。(以下、コピペ、自分の整理のため)

●心と体の疲れがスーッと消える10の習慣
現代人は疲れやすくなっているのかもしれません。周囲には、さまざまな便利なものがあふれ、生活はどんどん暮らしやすくなっているはずなのに、何かイライラしたり、欲求不満が多く、いつもストレスを抱え、疲れがとれない状態なのではないでしょうか。それは肉体的に疲れているというよりも、むしろ心の疲れ、すなわち「脳の疲れ」といえるものをつねに抱えているからなのです。

日本人の幸福度は、いろいろな調査(ちなみに、イギリスのレスター大学、178カ国の調査[世界幸福地図 国別幸福度ランキング2006]では90位〈第1位はデンマーク〉、ミシガン大学社会調査研究所による2008年発表の世界97カ国の調査では43位〈第1位はデンマーク〉、2009年度「地球幸福度指数ランキング」では143カ国中75位〈第1位はコスタリカ〉)でかなり低いようです。
いま、経済的な問題や政治的な問題など、いろいろな問題を抱えているとはいえ、日本はまだまだ豊かな社会でしょう。そうであっても、日本人自身があまり幸福だとは思っていないようです。しかし、昨年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災とそれに続く福島原発事故以来、少し変わってきたのではないかと思っています。不幸な出来事でしたが、それをきっかけにして、日本中からボランティアなど支援の輪が広がり、また家族の絆、人と人の絆の大切さが見直されてきたからです。
危機の中で、家族を含めた人間関係こそが、私たちの心を癒してくれることに、多くの人が気づきはじめたのではないでしょうか。実は、人と人の結びつき、信頼こそが、脳の疲れを癒してくれるということが、脳科学の立場からも検証されはじめたのです。

私は以前から脳のセロトニン神経の活性化によって、ストレスを受け流すことができるようになり、安定した心になるということを書いてきました。さらに最近注目されているのは、オキシトシンというホルモンです。オキシトシンが十分に分泌されていると、脳の疲れを癒し、気分を安定させ、人に対する信頼感が増し、心地よい幸福感をもたらしてくれるのです。

オキシトシンとセロトニンは関係していて、オキシトシンが分泌されるとセロトニン神経に影響を与え、セロトニン神経も活性化されます。オキシトシンとセロトニンが十分に分泌される生活は、心の疲れを癒し、心に充足を与えてくれるのです。なぜそれがよいのかということについては、拙著『「脳の疲れ」がとれる生活術』の中で、詳しく説明していますが、ここでは脳内にセロトニンとオキシトシンを十分に分泌する、誰でも簡単にできる方法をあげておきましょう。
1、夜は12時までに眠る。
2、夕食後はパソコンを操作しない。
3、夜は携帯電話で長話をしない。ベッドの近くに携帯電話を置かない。

1~3については、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌をよくして、よい睡眠をとる条件です。

4、朝日を浴びる(朝型生活に)。
5、朝と夕方に30分程度歩く(あるいはジョギング、サイクリング、スイミングなどのリズム運動を30分程度)。
6、呼吸法をする(これもリズム運動の一種です)。
一日の中で何回か5分程度、腹式呼吸をする(ヨガ、気功、坐禅などは呼吸法になります)。

4~6はセロトニン神経を活性化します。

7、家族団らん。
8、夫婦、恋人とのふれあい。
9、感情を素直にあらわす。
10、親切を心がける。

7~10はオキシトシン分泌を促し、セロトニン神経も活性化させます。

この7~10の行動から人間関係がうまくいき、気分よく生活することでオキシトシンが分泌されることがわかると思います。オキシトシンが十分に分泌されると、脳の疲れがとれるだけでなく、体をも健康にするのです。

●「幸福ホルモン」として注目されはじめたオキシトシン
では、近年「幸福ホルモン」として注目されている「オキシトシン」について、少しお話ししていきましょう。オキシトシンは哺乳類だけが持っているホルモンで、心が癒される、幸せな気分になるという効果があります。

オキシトシンは40年以上前から、女性が分泌するホルモンで、2つの役割があるということは、わかっていました。
第一は出産するときに子宮を収縮させて、出産を促すことです。よく陣痛を促進させるために点滴に使われているのがオキシトシンです。もう1つは、出産したあとに、母乳を分泌させます。つまり、母乳を出すように促すのです。赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うと、それが誘因になり、母親の脳からオキシトシンが分泌され、母乳の合成と分泌を促進させるのです。母親が出産し、赤ん坊を育てることに直結したホルモンとして、オキシトシンは昔からよく知られていました。
しかし、このオキシトシンの研究がこの10年くらいで進んで、オキシトシンは母親だけが出すものではなく、母親になっていない女性も、また男性も、年齢も関係なく、分泌されることがわかってきました。とくに最近になってオキシトシンが母乳を出すように促すだけでなく、母性愛と関係することがわかってきました。さらに信頼や男女の愛情と関係して分泌されるということもわかってきたのです。母性愛という心の状態だけでなく、信頼という心の状態、男女の愛情という心の状態をつくり出すということで、急激にこのオキシトシンというホルモンの役割が注目されはじめたのです。

近年注目されている、オキシトシンの効果をまとめると、次のようなものです。

1、人への親近感、信頼感が増す。
2、ストレスが消えて幸福感を得られる。
3、血圧の上昇を抑える。
4、心臓の機能をよくする。
5、長寿になる。

オキシトシンが分泌されると、脳内では「脳内物質」として働いて心を変え、さらに血液中のホルモンとなって体にも効くのです。

●オキシトシンとセロトニンの深いかかわり
オキシトシン受容体は、前頭前野と扁桃体にありますが、まさにそれは心に関係した脳の場所にあるわけです。ですから、心の状態に影響を及ぼす脳内物質ともいえます。セロトニン神経の神経細胞にオキシトシンの受容体があります。ですから、オキシトシンがたくさん分泌されてオキシトシン受容体に届くと、同時にセロトニン神経が活性化されることになるのです。よって、オキシトシン分泌を盛んにするような行動を行なうと、セロトニン神経の活性も起こるわけです。つまり、オキシトシンの分泌 → セロトニン神経の活性化 → セロトニンの分泌というような流れになります。

セロトニン神経が活性化されると、脳の状態を安定させ、心の平安、平常心をつくりだします。また、自律神経に働きかけて、痛みをやわらげる効果もあります。そのように、脳全体の状態を変えてくれます。

何度もお話ししているように、セロトニン神経を活性化するには、リズム運動と太陽の光、そしてグルーミングの3つが大切です。この第三の方法であるグルーミングは、セロトニン神経を活性化するとともに、オキシトシン分泌にかかわっています。グルーミングによって、セロトニン神経が活性化するのは、まずオキシトシンが分泌されることによると考えられます。

●オキシトシンを分泌させるつき合いとは?
母子の愛情や男女間の愛情の交流だけでなく、仲間と飲んだり食べたりしながら話すこともグルーミングになります。とくに、高級レストランなどよりも、狭くてカウンターで肩を寄せ合うように飲み食いするような赤提灯や居酒屋のほうが、グルーミング効果があるのです。こうしたグルーミング行為で、最初にオキシトシンが分泌されますが、それによって信頼感や幸福感が高まるのです。そしてセロトニン神経も活性化されるので、気分が安定することにもなるわけです。

●オキシトシンが分泌されない社会環境
ところが、現代生活では、オキシトシンの分泌が少なくなる環境になっています。それはパソコンが普及して、ネット社会が進展してきたことと軌を一にしています。パソコン社会になる前は、仕事を進めていく上でも、人と直接会ってコミュニケーションをとらなければならないことが多かったものです。よかれ悪しかれ、人間関係が伴っていました。

ところが、いまでは直接会話するよりも、パソコンや携帯を通してということが多くなっています。メールだけでやりとりして、一度も相手と会わずに仕事ができるようになっています。あなたの職場を振り返っていただいても、ほとんど一日中パソコン相手に仕事をしていて、隣の同僚とも直接話すよりも、パソコンのメールでやりとりをしたりすることが多くなっているのではないでしょうか。そんな状況が日常化しています。仕事だけでなく、恋愛もお互い会わずにネットでできるわけです。つまり、フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションが失われつつあるのです。ことにメールだけを介してのコミュニケーションでは、言葉だけ、論理だけのコミュニケーションになりがちで、そこに感情のニュアンスが入りにくいのです。それではオキシトシンはほとんど分泌されず、癒しは得られません。人を愛する、人を信頼する、人のために何かしてあげるなどという気持ちが起こらないのです。残念ですが、そういう社会が実際に進行しているのです。

オキシトシンが関与しない人間関係が多くなり、会社も同様の環境です。家でも家族がいても孤立していたり、あるいは一人暮らしが多くなってもいます。いま、いろいろな問題が起こっているのは、オキシトシンが分泌されないような社会環境になっているからといえるのではないでしょうか。

以上は、有田秀穂氏の『「脳の疲れ」がとれる生活術』での解説。以下は、ある人のHPでの解説で、『幸せホルモン』を出すカンタンな方法!パートナーと●●するだけで・・・である。

みなさんは、彼や旦那さんと、一緒のベッドや布団で眠っていますか?
相手の寝相が悪かったり、いびきや歯軋りがうるさかったりすると、ぐっすり眠れないから一人で寝たい!なんて思ってしまいますし、もしかしたら我慢の限界を迎えて、既に1人寝実行済みという方もいるかもしれません。でもちょっと待って!!ある研究によると、「パートナーと一緒のベッドや布団で眠ることが、健康に良い影響を及ぼす」という結果が出ているのです。

●『幸せホルモン』って?
とてもショックなことや傷つくようなことが起こった時に、誰かに優しく抱きしめられたり背中をさすってもらったりすると、少しだけ安心できたりしますよね。このとき、脳内では「オキシトシン」というホルモンが分泌されています。

オキシトシンは、 癒しホルモン・幸せホルモンとも呼ばれ、リラックス効果や脳の疲れを癒す効果、人への信頼感や絆を高める効果があるとされ、幸せで安定した気分へと導いてくれるホルモンなのです。このオキシトシンは、出産時や授乳時に大量に分泌されるのですが、セックスでも分泌されることが分かっています。 特に、オーガズムを迎えるときに一番濃度が濃くなるといわれているのです。継続的にセックスをしているカップルや夫婦の仲が安定したり、満たされた関係性を続けられるのは、オキシトシンによるものといえるのかもしれません。

●一緒に寝るだけでも、オキシトシンが分泌される
家はセックスレスなんです・・・。とか、毎日疲れてセックスする気分にはなれません・・・。という方でもご安心を。 最初にご紹介した研究の結果、「パートナーと一緒に眠るだけでも、オキシトシンが分泌されていること」が明らかになったのです。もちろん、そこにスキンシップが加わればオキシトシンの分泌はさらに盛んになりますし、ベッドで会話を交わすだけでもオキシトシンの分泌に効果があるそう。

最近セックスから遠ざかっていたり、そういう気分になかなかなれない場合であっても、まずはパートナーと隣で眠ることを大切にしてみてはいかがでしょうか。ハッピーオーラに包まれるには、気の持ちようだけでなく、“幸せホルモン”を分泌させることが大切。今回は“幸せホルモン”の重要性と、分泌量を増やすための食べ物をご紹介したいと思います。

■幸せホルモンが不足すると
幸せホルモンとは、セロトニンという神経伝達物質のこと。 セロトニンが不足してしまうと、落ち込みやすくなったり、怒りっぽくなったり、不眠、冷え性にもつながります。また、セロトニンの分泌は女性ホルモンとも連動しています。女性ホルモンのバランスを整えるためにも、セロトニン不足を防ぐ必要があるのです。

■セロトニンを分泌させる食べ物3つ
セロトニンの素となるのは、トリプトファンというアミノ酸です。トリプトファンは、必須アミノ酸といって体内では作られないアミノ酸。つまり、食べ物で補う必要があります。また、セロトニン生成にはビタミンB6も必要。セロトニンは腸内で作られるので、腸内環境をよくすることも大切です。では、これらの条件に合った手軽に食べられる食材をご紹介しましょう。
(1)バナナ
バナナはトリプトファン、ビタミンB6を含みます。また、食物繊維が豊富なので、便秘解消をサポートし腸内環境を整えてくれます。手軽に食べやすく値段 も手ごろなので、毎朝食べるとよいでしょう。
(2)納豆
トリプトファンの含有量が100gあたり240mgと豊富で、ビタミンB6も含んでいます。発酵食品なので、腸内環境を整えるのにもぴったり。
(3)ヨーグルト
ヨーグルトはトリプトファンを含み、腸内環境を整えます。ヨーグルトに含まれる菌は、自分に合うものと合わないものがあります。何種類か食べ比べて、お 通じがよくなったヨーグルトを選んでみてくださいね。バナナを混ぜて食べるのもおすすめです。(以上、コピペ)

今日11月19日のニュースに、京都府で結婚したての67歳の妻が、75歳の夫を青酸で毒殺した記事があった。このよう高齢者同士による殺人事件は結構おおい。だいたい、高齢の男が結婚したての妻に殺されるのであるが。殺されたのは、67歳、75歳、71歳、75歳、75歳である。気の毒なひとり暮らしの男たちである。寂しかったのであろう。いわゆる茶飲みともだちを求めたのであろう。人はひとりで暮らせるようにはできてはいないからなあ。そして簡単に殺される。

「老人と性」の問題は、わが業界ではタブーである。大岡越前の母親が、火箸で灰をかきまわしたなどの理解はない。北欧、欧米のホームでは月に何回かダンスパーティーを開催するそうだが、日本の老人施設のアクティビティは、幼稚園児と同じことを高齢者にさせる。つまり、高齢者は廃物になる前の欠陥機能者として扱われる。でも、団塊の世代が要介護老人になると、そんな素直な受け入れは、新しい高齢者はしなくなるだろう。

イギリス、エジンバラ病院の神経心理学者デイビット・ウイーク氏による10年の研究結果によると、定期的なセックスをしている男女は、していない人よりも5~7歳若く見えるということがわかったそうだ。セックスが血流の流れをよくし、若返りホルモンといわれる「DHEA」が放出されることで弾力のあるお肌になるのだとか。これは、老化防止になるとか。

またセックスには、リラックス効果も。セックスが緊張を解きほぐし、気持ちを落ち着かせてくれます。それはどんな薬もなすことはできないエクスタシー。オーガニズムに達すると、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が脳内に分泌されます。セックスのあとに、気持ちがリラックスし穏やかな気持ちになれるのはそのためとか。これまでにアカデミー賞候補に7回ノミネートされたことがある大女優、ジェーン・フォンダ。72歳とは思えない美貌を保つ彼女だが、「アンチエイジングの秘訣はセックスにあり」と発言し話題となった。

では、果たしてセックスは本当に「美の万能薬」なのか?
セックスと心臓病の関係について。ベルファストのクイーンズ大学が行った調査によると、週に3回セックスをしている人は、頻度の少ない人に比べ、心臓発作や脳卒中のリスクが半分以下であることが判明している。また、週に1、2回セックスすることで、ウィルスやバクテリアの感染から身を守る「免疫グロブリン」と呼ばれる免疫体のレベルが高まるという。週に1回以上セックスをする人は、全くしない人に比べ、免疫グロブリンが30パーセント高かったという研究報告もあるさらに、セックスの最中には、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)と呼ばれる天然のステロイドが分泌される。「アンチエイジング・ホルモン」としても知られるDHEAだが、この数値が高いと病気にかかりにくくなるそうだ。オーガズムの後には、血中のDHEA数値が通常の5倍にも達するという。

「セックスで綺麗になる」説

30分間のセックスで消費するカロリーは、最大150キロカロリー。なんと、ジョギングを30分間行うのと同じぐらいの消費量に当たるのだ。さらに、体を動かすことで大量の酸素が体を廻るため、新しい肌細胞の成長が促されるという。また、性生活が充実していると大量のフェロモンが分泌されるため、さらに異性を惹きつけることに。 気になる美肌効果は、セックスの最中に分泌されるホルモン「エストロゲン」が重要。数ある女性ホルモンの中でも、美肌に最も強力な作用があるのがこのエストロゲンだ。セックスすることにより肌に艶やハリが出るのは、このホルモンのおかげだという。

「セックスで幸せになる」説

セックスをして心拍数が上がると、脳から「セロトニン」と呼ばれる化学物質が放出される。別名「幸福ホルモン」と呼ばれるこの物質は、軽い鬱状態が治るほど、落ち込んでいた気分を高めてくれる効果がある。また、同じく幸福ホルモンであるオキシトシンやエンドルフィンなどが分泌されるため、セックスすることにより頭痛や関節痛が軽減したという報告もある。オキシトシンには睡眠を促すというメリットもあり、質の良い睡眠をとることで、幸福感の増加や、高血圧や体重の増加を防ぐことに繋がるという。さらに、「サイコロジー・ジャーナル」誌では、24時間以内にセックスをした人としない人では、した人の方がストレスの多い状況にうまく対応したと発表している。

ここで気付いたが、むかし漢籍をよく読んでいたころに、『黄帝内経』や『医心法』を読んだことがある。べつに房中術への興味ではないが、いわゆる「性養生(ようせい)の法」である。「性養生の法」というのはセックス、つまり性生活に関した養生法のことである。セックスを医学の一分野としてとらえているところは東洋医学の独特なところで、西洋医学にはまったく存在しないところの発想である。東洋医学は、自然と人間の調和を基本として、我々の日常生活の中から生まれてきたものですから、食べたり、眠ったり、動いたり、考えたりすることと並んで、セックスすることも、当然、養生思想に含まれ、りっぱに医学の対象となる。東洋医学ではセックスすることは、生命の誕生を意味し、生命の根元である「先天の気」と結びつけられて重要視されてきた。

「気」の概念は「陰陽五行理論」と併せて、東洋医学の基本である。「気」なくして東洋医学を語ることはできない。『黄帝内経』には「病は気から生じる」という言葉がある。この気に、陰の気と陽の気があって、陰陽の気の不調和が病気である。また、気が体中に過不足なく円滑に循環している場合を健康、過不足があったり流れに停滞のみられる場合を病気と説明する。気には「先天の気」と「後天の気」とがあり、先天の元気は、親から受けるものであり、後天の元気は、生まれてから呼吸や飲食によって得るものとされてる。

従って、先天の元気を産み出すセックスは養生医学の中で非常に重要な位置をしめる。養生医学では、両親から受ける先天の元気は、「精(男は精、女は血)」と呼ばれ、この精こそ、その人の一生を左右する大切なものである。したがって、この精を次代に受け渡していくセックスは十分に心をこめて行わなければならないし、みだりに用いれば精を浪費することになって、自分の生命を縮めることになるとしている。
養生医学の性養生の法の古典には、『素女経』『素女方』『玉房秘訣』『玉房指要』などがある。いずれも房事疲労を重要視していて、過度のセックスは、さまざまな病気を引き起こすことになり健康を害するとの立場もとる。

具体的には、セックスには「8つの益と7つの損」があるとする。セックスする時は、男女の気の調和とそれに合った体位をとることが重要であるとして、それぞれの状況下での養生の方法がまとめられている。また、過度のセックス、セックス疲労をしてしまった時の養生の方法に関しても、食物、鍼灸・指圧、漢方薬をもって回復する方法が記載される。ここらは、最近の欧米の研究とは、すこし違う。

また、東洋医学の古典の中に登場する歴代の名医はみな長寿で、房中術(性養生の法)にたけていたという記録がある。その中で、歴代最高の長寿は、有名な殷の時代の名医で仙人とも呼ばれた「彭祖」で、なんと800歳まで生きたことになっている。彭祖は、自分自身の医学の中で、養生医学を一番重んじ、中でも「房中術」の天才であったとのこと。

この「房中術」の奥義を彭祖のように極めれは、仙人になれるに違いない!?
「医心方」巻第Ⅱ八房内の教えにしたがい、若死にしたくなかったら「多接」「少泄」「易女」「御少女」の4か条を守れ、ということなるか?

「御少女」に関しては、一休さんだなあ!

テレビの一休さんと違い、実物はなかなかの曲者。また若いころから堂々と遊女買いを趣味としていた僧である。
歳とって、若いころの愛人の尼から、またラブしようとの手紙をもらう。その返事が素敵で、もう30年も前の読書だが、当時大笑いしたものだ。
それにいわく、「我がものはゆるく、君がものはひろし」である。なんという素晴らしい漢文の返信。でも、おばさんの元愛人はことわりながら、本人は盲目の美少女をかこい、朝な夕なであったから、まあ、さすがである。つまり、これは一休さんの 「御少女」だな。老いた男は陰である。美少女の陽の気を得るのは、理屈としてまったく正しい。さすがです。

以上は、老人ホーム業者とてしの「老人と性」についての研究。問題は、理屈ではなく、実践なのであるが。これは、これで、なんとも、はや。このように最新の医学と伝統の思考が合致していくのをみるのは愉快だが、今日のニュースの67歳の新婚の妻に毒殺された75歳の気の毒な男も、ここらあたりをしっかり学んでおくべきだったのか。一休さんや、松浦静山をである。この江戸時代後期の大名さんは、少女と「お女郎さま」のマニアである。ともに、かなりの長寿だなあ。「幸せホルモン」をしっかりと分泌させつづけたのであろう。

そういえば、2500年前。釈迦も孔子も、80歳という当時としては驚くべき長寿を達成している。彼らは、なにが「幸せ」だったのだろう、ノーセックスだが。まあ、社会的には人からたいへんに尊敬されて時代的に成功し、つねに多くの人に囲まれ、弟子たちに教え諭しつづけているから、そりゃ生き甲斐があり、幸せホルモンもたくさん出たのかも知れない。ひとり暮らしの男やもめが、早死にするわけだ。そんな理屈か。これが課題だなあ、ともかく。理屈だけではねえ。「愛」は生きる力か。誰もが、愛したいし、愛されたいのか。たとえペットの犬でも。世話はたいへんだが、それが幸せホルモンの理由か。人の中で生き、利他行をなすべし、か。

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