溜息がとまらない

こんな思いを聞いた。
彼の長男が何年か浪人はしたが、なかなかむつかしい学部に合格した。よく頑張った、素晴らしい。彼は息子を誇りに思う。尊敬に値する。何年もくじけずに頑張った。そして、次男も同時受験でこちらは一浪のはずだった。ところが浪人したのに、今年は試験すら一校も受けていないと聞く。名門中高に行き、中学で柔道黒帯、自慢の息子だったが、すでにニート化しているらしい。別居して五年の母子家庭である。母親は自分に対する非難には激しく反応する。つまり切れる。

円満とはいいにくいDV家庭環境で、彼の元妻は育った。そのせいか、今までもさまざまな形で人間関係に失敗している。

彼の長男が高二のときに、たまたま別居していたが、その学力進度に驚き、すこし母親から離し、彼のそばにおいてサポートしようとした。あの時も、激しく切れて、ののしり、わめきつづけられた。結局、そのながれで離婚することになった。

こんどは次男だ。もともとマザコンの子だ。ママ、ママで大きくなった。名門中高に行かしたのに、挫折したらしい。柔道部も、担当教師と自分とは考えが合わないから、やめたという。浪人までしたのに、受験も自分の考えとは違うからうけないとか。

典型的な、ニート息子と「共依存」の母親の形だ。あの賢い子が、こんなことに。

何かするほど逆効果になるのは間違いない。言うほど切れるのも間違いない。なんということだ。彼は頭をかかえる。こんなことになるとは思いもしなかった。

どうしたら良いのだろう。深夜、彼はひとり悶々とする。暗闇のなかで、溜息と繰り言ばかりとなる。朝は、まだ遠い。

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