後ろ回し蹴り

高校では柔道部だった。今おもえば、講道館系の柔道ではなく、すぐに寝技にもちこみ首絞めにかかる、つまり高専系柔道だったような気がする。それから極真館をやり少林寺拳法をやり、神戸の塚本ジムでボクシングに落ち着いた。でも二十代のころだ。この年齢になり、だが三年前に京橋駅のそばにキックボクシングジムができた。よろこんで入った。古参会員である。素人の新人の若者がどんどん入ってくるが、所詮はしれている。若い男をリングにあげて、スパーリングと称して殴りまくる。愉快だ。鼻血を出した男が、殴られた挙句、ありがとうございます、と言う。愉快だ。と思っていたが、さすがに若い男が三年も鍛えると、みな見事なものだ。逆に、今は彼らはリングから、教えてくださいよとスパーリングを挑むが、いや、君に教えるものはもうない、と断る。

しかし、この年齢で、わたしも成長し、技の切れがましている。学びに年齢はない。昨年は、わたしがジムにテッコンドーの教師をよび、我がジムに、その技を導入させた。やはり、バックスピンキックだな。素晴らしい。いつの間にか、わたしはジムの練習生のバックスピン専門コーチになっていた。おせっかい焼きの性格で、そんな役割に。愉快だ。決まれば一発で吹き飛ばせる。
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そして、その技が日々、切れが良くなっているのだ。見返りながら、軸足のかかとに重心をすえ、ねじを床にスクリューするように回転させ、抱え込んだ右膝を、そして足刀を軌道を描かして空中で旋回させながら相手にえぐりこむ。快感だ。