さまざまな My way

英語の発音のレッスンとしてシナトラを歌ってみようとする。でも、これは原曲はフレンチ・ポップスだとか。

My way

And now, the end is near;
And so I face the final curtain.
My friend, I’ll say it clear,
I’ll state my case, of which I’m certain.

I’ve lived a life that’s full.
I’ve traveled each and ev’ry highway;
And more, much more than this,
I did it my way.

Regrets, I’ve had a few;
But then again, too few to mention.
I did what I had to do
And saw it through without exemption.

I planned each charted course;
Each careful step along the byway,
And more, much more than this,
I did it my way.

Yes, there were times, I’m sure you knew
When I bit off more than I could chew.
But through it all, when there was doubt,
I ate it up and spit it out.
I faced it all and I stood tall;
And did it my way.

I’ve loved, I’ve laughed and cried.
I’ve had my fill; my share of losing.
And now, as tears subside,
I find it all so amusing.

To think I did all that;
And may I say – not in a shy way,
“Oh no, oh no not me,
I did it my way”.

For what is a man, what has he got?
If not himself, then he has naught.
To say the things he truly feels;
And not the words of one who kneels.
The record shows I took the blows –
And did it my way!

Yes, it was my way.

大スター、フランク・シナトラが歌うと、♪I did it My Way~♪は、「私の人生」は文句なしに最高だぜと、みんな俺の人生を知っているだろうとなる。シナトラの歌う英語の歌詞では、死期の近づいた男が自分の人生について、悔いはなく自信を持って語っているが、実はこの曲は、フランスのポップ・シンガー、クロード・フランソワが創唱したれっきとしたフレンチ・ポップスである。フランク・シナトラのために書かれた曲と思っている人も多いが、本当は違う。ポール・アンカが書いた詞の内容は原曲の内容とは無関係なのだ。ポール・アンカによる英語詞は、死期が近づいた男が誇りを持って自分の歩んできた人生を友人に語っているという内容だが、しかし、原曲の歌詞のもつ雰囲気とはずいぶんと違っている。1800%違う。

そして、フランス語(原曲)の歌詞・訳

Comme d’habitude  いつものように

僕は起きて君を揺するけれど
いつものように君は目を覚まさない
風邪を引かないように
いつものように君の体にシーツを引き上げ
いつものように僕の手は君の髪を撫で
本当のところ面倒くさいのだが
だけど君は僕に背を向ける
いつものように

そこで僕はすばやく着替える
いつものように寝室を出て
一人でコーヒーを飲み
いつものように遅刻し
音も立てずに家を出る
いつものように空はどんよりと曇って
寒さを覚え、襟を立てる
いつものように

いつものように、一日中
僕は同じようなことを繰り返し
いつものように微笑むだろうし
いつものように笑いさえするだろう
結局のところいつものように生きようとするんだ
いつものように

そうして一日が過ぎていく
僕はいつものように帰って来るけれど
君は、出かけているだろう
いつものようにまだ帰っていない
たった一人で僕は寝るだろう
この冷たいでかいベッドでいつものように
僕の涙、それは隠そう
いつものように

いつものように、夜も
それらしく振舞おう
いつものように君は帰ってくるだろう
いつものように君を待っているだろう
いつものように君は僕に微笑みかけるだろう
いつものように

いつものように君は服を脱ぎ
いつものように君はベッドに入って来るだろう
いつものようにキスをするだろう
いつものように

いつものようにそれらしく振舞い
いつものようにセックスをし
いつものようにそれらしく振舞う

な、な、何じゃ、こりゃ?
シナトラの英語詞で大声で歌った後に、これを見比べるとちょっと、これは。オリジナルの歌詞はなんともサエない感じのフランス中年男の物語なのである。倦怠期の夫婦といった感じで、おそらく女房は不倫中だな。つまり原曲は寂しい夫の歌なのである。このオリジナルの歌詞は、とてもステージで熱唱できる歌ではない。ある夫婦の日常の倦怠を描いたものでさほどヒットはしなかったとか。

ところが、フランク・シナトラの歌った英語版のMy Wayは、人生の終わりに自信たっぷりに自分の人生を振り返る男の歌に大変身。俺はすごいだろうに大変身。ほうれん草を食べる前のポパイと、食べたあとのポパイである。だが、しかし、こんないじけてアンニュイな歌をつくるなんて、じつにフランス人らしいなあ、そして、こんな景気のいい自己チューな大ぼら歌につくりかえるなんて、アメリカ人らしいなあ。笑けるなあ。フランス人に座布団一枚。

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