垢の効用について

会社の女性たちに、タモリ式入浴法 をおしえて、シャンプーはするな、石鹸は使うな。ただ10分以上の風呂につかれと宣布しつづけているが、だれもしない。
歯磨きを使うな、歯ブラシだけでよい、塩で磨くのはよいとも宣布したが、だれもしない。

老人ホーム業者であるから、それなりのアンチエイジングのノウハウはある。長い間、歯みがき粉、練歯みがきを使うと、年取ってから味覚がダメになってしまう。老後に大事な食欲が失われ、確実に寿命も短くなるのだが。また、寝起きの口内は細菌の巣である。朝すぐに水を飲むのはいけない。うがいで吐き捨てるか、歯ブラシを使うのが正しい。食後にすぐ歯をみがくのもよろしくない。唾液の活動を阻止してしまう。食後に三度は大嘘である。うがい程度でよい。

垢(あか)も汚いものとされるが、団塊世代の子供のころは、風呂に入るのは月一、二回くらいの家がおおく、垢だらけであったが、それは汚い。皮膚病もおおかった。しかし、今は毎日、風呂に入るかシャワーを浴びる時代である。
老人ホームでは、家庭でもだが、冬になって、あれだけ一生懸命お風呂で垢を落としたのに背中が痒いくなる人が多い。垢を落としたりないのだと思って更に洗うと、益々痒くなる人が多い。

頭髪もそうだが、頭の地肌(頭皮=スカルプ)をきちんと洗って清潔にしておかないと毛が抜けると、養毛剤、育毛剤の宣伝でばんばん言っている。そこで、はげのお父さんたちが恐れおののいて、あわてて薬用シャンプーを使いつづけるが、どうやら逆に毛が抜けることになるらしい。ところが、ハリウッドでは、逆に、シャンプーを使わないノンプーが流行しているらしい。

小説家の五木寛之氏は80歳近くになって、じつにお元気だが、その五木寛之氏の頭髪を見れば、ふさふさとし黒々としていて、私は見るだけで腹が立つのだが、その秘訣は、「頭を洗わないこと」だそうだから、驚きである。
「そんなに長い間、頭を洗わないでいると臭くなったり、痒くなったりしないですか?」の質問に、五木寛之氏はこう答えている。「一週間だけ我慢すれば乗り越えられる!頭髪のためにも頭皮のためにも、頭は絶対に洗ってはいけない!」
test

安保徹ドクターは、免疫力を重要視する著作をいつくも出しているが、その『体温免疫力』では、「お風呂はガン予防・治療の一つの方法」と論じて、「身体のバリアー=脂を守ろう」の見出しで、石鹸・シャンプーは使うべきではない事を主張している。

① 皮脂は、皮脂線から分泌される脂分で、皮膚全体を膜のようにうすくおおうことで、皮膚組織の水分が蒸発しないよう守ってい。いわば皮脂は、体を守るバリアーの役割をもっている。

② むき出しになっている顔には皮脂は多く、服等で覆われている体躯部分は皮脂は少ないので、その皮脂の少ない部分を石鹸で落としてしまうと「皮膚組織から水分が蒸発しやすく」なって肌が乾燥してしまう。

③ 皮膚が乾燥していると、カサカサした表面に「菌やホコリ等の異物がついて刺激し、さまざまな皮膚のトラブルが起きやすくなる。

そして、安保氏は説く。
「お年寄りは、乾燥しやすい冬になると、湿疹が出来やすくなったり、やたらにかゆくなるのは、そのためです。身体を石鹸で洗うのは、お年寄りなら、一カ月に一回程度でもいいでしょう」
なるほど、これはまた聞きだが、ある特養で風呂の嫌いな八十代女性がおり、風呂は月に一度程度だったが、入居者中で、もっとも綺麗な肌をしていたとか。熱心に洗いたがる人ほど、カサカサだったとか。
そして安保氏は「垢」について、さらに語る。「皮膚組織の残骸である垢は、もともと自然にはがれ落ちるものです。<中略>ましてやお湯で身体を流したり、湯船につかっていれば、垢は綺麗にとれます。汚れた皮脂も、お湯なら溶けて流れます。」
「シャンプーも同様の理由で、あまり使用しないことをい勧めします。 ちなみに私は、お湯だけを使って髪を洗っています。そのせいか、かつて白髪ばかりだった頭髪が、黒々としてきました。」

wikipediaは、以下のように解説する。

ヒトの表皮細胞は基底部で幹細胞の細胞分裂によって次々に新生し、これが表層に押し出されるにつれて細胞骨格の一要素である中間径フィラメントの上皮型であるケラチン繊維が細胞内に充填していき、最終的にほとんどケラチン繊維からなる死細胞となる。これが角質であり、陸上脊椎動物の体表はこの角質で保護され、内部の細胞を乾燥などから防御している。角質は死細胞で構成されるため、生きた細胞の代謝は行われない。その代わり次々に下層で新生される角質に置き換わって一定の状態を維持している。このとき、古い角質は垢となって剥がれ落ちる。

ヒトの表皮細胞は人種や個人差によって密度が異なるが、メラニン色素を蓄積して紫外線の防御を行っている。垢として剥がれ落ちた角質は表皮の一部として機能している角質よりも厚く堆積すると、角質本来の淡い色調や、メラニン色素の色が強調され、より濃色の褐色を呈するようになる。また、垢を構成する角質や皮膚分泌物は本来は無臭であるが、皮膚表面の常在細菌によって分泌物が分解されることによって、臭いを発するようになる。垢はこうした代謝産物を保持する機能があるため、入浴などによる皮膚の洗浄を長期間行わないと、その個人特有の体臭は次第に強くなる傾向にある。

垢は皮膚表面に蓄積し、室外に出て活動している場合などには、埃や泥が混じるので黒っぽくなり、入院で入浴できないなど、清潔な条件下では白っぽい。湿ったものは皮膚をこすると粘土の塊のようにこねられた粕になって出、乾燥した状態では粉の塊のようになって皮膚から剥がれる。

人間は長い時間、体を洗わないと皮膚表面の垢の体積は次第に厚くなり、そうした状態が説話の『垢太郎』(後述)の物語の現実感のある要素となっている。ただし厚くなれば体を動かした際にひび割れて剥がれる。あまり垢が堆積すると皮膚呼吸に影響をきたし、体内の水分調節が難しくなる側面があるため、垢が堆積するまで放置するのは健康上あまり好ましくないと言う話もあるが、ヒトの皮膚呼吸の比重はさほど大きくはなく医学上正確な話とは言い難い。

垢は汚いという社会通念がある。しかし垢の落としすぎも、また、まだ機能的な皮膚の角質をも侵食して破壊してしまう恐れがあること、また垢に保持された皮脂腺分泌物などが常在細菌によって代謝された産物は皮膚を弱酸性に保ち、常在細菌叢そのものと複合的に外部からの病原体を排除していることを考慮すると、皮膚の健康上はあまり望ましいものではない。

wikipediaも、「垢の落としすぎは、皮膚の健康上あまり望ましくない」と解説するのだ。

適度の垢は、私たちの皮膚を守るバリアーであり、必要なものなのだ。だが、子供の頃から、石鹸シャンプー、歯みがき、化粧品のコマーシャルの渦で育った私たちは、その商業社会的先入観から逃れられない。垢とりの爽快感、メントールの入った練歯みがきの清涼感から逃れられない。子供のころ、親からさんざん石鹸で綺麗にしないさと怒られたはずだし。でも、安保氏の言うように、自然治癒力、人間本来の免疫力を活用するのが最も正しいのだが。
タレントの福山雅治も、この皮脂のバリアーで自分の肌を守っているのだ。
c%c2%a6%c2%8fa%c2%b1%c2%b1e%c2%9b%c2%85ae%c2%b2
というわけで、わが社の女性社員のみなさん。わたしが普段言っていることの理屈が、わかっていただけましたか。あなたが、月に一度しか風呂に入らないのなら、それは石鹸を使いましょうよ、いくらなんでも。ちゃんと垢を落としましょうよ。でも、毎日入るなら、石鹸はご法度なのですよ。適度の垢、つまり皮膚の皮脂バリアーを守りましょうよ。それが正しい自然の養生法なのです。何年後、カサカサお肌と、つるつるお肌のどちらが良いですか。自分の持つ本来の力を信じるのです。

私やタモリの言うことは信じられなくても、福山雅治なら、信じられないかね。だろう? 化粧水、クリームその他の化粧品も、以下同文。コマーシャルにのせられず、研究して、自分の皮膚の輝きを最も活かす方法を探してください。自分に内在する自然の力を信じることです。 Yes, You can !!!!

カテゴリー: 徒然なるままに パーマリンク